住まいのお金
マイホームの生涯にかかるメンテナンス費用
マイホームのメンテナンス費用とその対策
新築住宅を購入する際、多くの方が「家の価格」に注目しますが、家を建てた後にかかる 生涯メンテナンス費用 についても重要なポイントです。適切なメンテナンスを行わないと、修繕費用が高額になったり、住まいの価値が下がってしまう可能性もあります。この記事では、新築住宅購入後にかかる主なメンテナンス費用と、それを賢く管理するための対策を解説します。
1. 外装メンテナンス費用
外装の劣化は家の耐久性に直結します。以下のような項目に分けて考えると、適切なメンテナンスが可能です。
・屋根のメンテナンス費用:屋根の種類(瓦、スレート、ガルバリウム鋼板など)によって異なりますが、一般的に 10~30年 で屋根の塗装や補修が必要になります。費用は、屋根の種類や形状によって異なりますが、約 10万~50万円 が目安です。
・外壁のメンテナンス費用:外壁の素材に応じてメンテナンスの頻度や費用が変わります。
◦サイディング: 10~20年ごと に塗装が必要。
◦タイル: 30年に一度 くらいの補修が必要です。
費用の目安として、外壁塗装に 20万~80万円、タイルの補修に 50万~150万円 程度かかることがあります。
・バルコニー・デッキのメンテナンス費用:バルコニーの防水層は、約 10年に一度 程度必要です。費用は 10万~30万円 。
2.設備機器のメンテナンス費用
設備機器は、使用頻度や品質に応じて消耗が早くなることがあります。
・エアコン:使用頻度に応じて、約 5~10年 でフィルターの掃除やガス補充、部品の交換が必要です。
費用は 1台あたり1~5万円。
・給湯設備(エコキュート、ガス給湯器など):約 10年に一度 交換が必要になることがあります。費用は 15万~30万円。
・照明設備:LED照明を採用すれば長寿命ですが、電球交換やシーリングの交換に 2~5年に一度 1~2万円程度の費用が発生します。
・水回りの設備(トイレ、洗面台、キッチンの水栓など):水回りの設備は約 10年~15年 での交換が推奨されます。費用はトイレの交換に 5~10万円、水栓の交換で 1~3万円。
3. 内装メンテナンス費用
内装の劣化は、生活する上で目につきやすい部分です。
・フローリングのメンテナンス費用:フローリングは約 10年~15年 で傷や剥がれが目立ちます。補修やフローリングの張り替えに 5万~15万円 の費用がかかることがあります。
・クロス(壁紙)のメンテナンス費用:約 10年~15年 での張り替えが必要です。クロス張り替えの費用は、約 5万~15万円。
・畳の交換や表替え:畳は約 10年~15年 で劣化が見られ、表替えや全面交換が必要になります。表替えの費用は約 1万~3万円、全面交換で 5万~15万円 ほどの費用がかかることがあります。
・窓まわり(サッシやガラス)の交換:サッシやガラスは約 10~20年 ごとに補修や交換が必要です。ガラスの交換や窓枠の修理に 3万~10万円 ほどの費用が発生します。
4. 給排水管や電気設備の点検・更新
見えない部分の設備も老朽化するため、適切な対応が求められます。
・給排水管の点検・更新費用:給排水管は、約 25~50年 での点検・交換が必要です。劣化や詰まりが発生しやすく、費用は 10万~30万円。
・電気設備の点検・更新費用:電気設備は、約 20~30年 で配線や配電盤の点検・交換が必要です。配線の老朽化が進むと、突然の故障や電気トラブルを招くため、更新には 10万~50万円 の費用がかかることがあります。
5. 外構・庭の維持管理
住宅の外回りも劣化し、手入れが必要です。
・外構のメンテナンス費用:外構は約 10年~15年 ごとに塗装や補修が必要です。駐車場のコンクリートや塀、フェンスなどに関しては、メンテナンスに 5万~20万円 が必要です。
・庭の維持管理費用:庭の手入れは定期的に行う必要があり、草刈りや剪定、灌水設備の修理などに 2万~5万円/年 の費用がかかります。
生涯メンテナンス費用の目安と備え
新築住宅を持ち続けるには、生涯にかかるメンテナンス費用を把握し、計画的な備えが必要です。
一般的に、生涯メンテナンス費用の総額は、建物の規模、構造、地域、気候などによって異なりますが、以下のような目安を考えると良いでしょう。
1. 総額の目安
以上を合計すると、住宅のメンテナンス費用は生涯で約500–800万円程度が必要とされます。
※築年数や家の規模によって大きく異なります。特に住宅の構造や住環境、設備の劣化具合により、金額が変わります。
2. 住む地域や環境による影響
メンテナンス費用は住む地域や気候によって異なります。例えば、台風が多い地域や雪の多い地域では、外壁や屋根の劣化が早く進むため、メンテナンス費用が増加する可能性があります。
また、都市部では騒音や排気ガスによって外壁や設備の劣化が早まるため、メンテナンス頻度が増えることもあります。
3. 長期メンテナンス計画を立てる重要性
メンテナンス計画を立てることで、突発的な修繕費用の発生を防ぎ、余裕を持った家計の管理ができます。
また、年間や5年ごとのメンテナンススケジュールを立て、計画的に備えることで、修繕費用を分散させることが可能です。
メンテナンス費用を抑えるための工夫
様々な工夫を実践することで、長期的な住宅の維持管理がより効率的になり、メンテナンス費用を抑えることができます。
1. 高耐久・長寿命な建材や設備を選ぶ
メンテナンス費用を抑えるためには、初期コストは少し高くなっても、耐久性が高い建材や設備を選ぶことが重要です。
例えば、
・耐久性のある外壁材(窯業系サイディング、ALCなど)は、長期間にわたってメンテナンス回数が減り、費用を抑えることができます。
・長寿命な屋根材(ガルバリウム鋼板など)は、塗装や補修の頻度が減り、長期的なコスト削減につながります。
2. 定期的なメンテナンスを計画的に実施する
定期的なメンテナンスは、早期に劣化を防ぎ、修繕費用を抑えるために欠かせません。
・定期点検を行うことで、異常の早期発見と適切な対応が可能になります。
・5年、10年ごとの点検スケジュールを組み、家の状態をチェック。これにより、大規模な修繕を未然に防ぎ、必要な時期に適切なメンテナンスを行えます。
3. DIYや専門業者の利用を組み合わせる
修繕やメンテナンスを専門業者に依頼する場合でも、簡単な作業を自分で行うことで、工賃を削減できます。
・DIYできる作業:例えば、壁紙の貼り替えや家具の組み立て、草むしり、庭の簡単なメンテナンスは自分で行うことで、業者に依頼する費用を抑えられます。
・専門業者を活用する:大規模な修繕や専門性の高い作業(外壁塗装、給排水管の更新など)は、信頼できる専門業者に任せることで、作業の質が高まり、長期的な費用対効果も期待できます。
4. 補助金や助成金を活用する
各自治体や国が提供する補助金・助成金を積極的に活用することで、メンテナンス費用を大きく削減することが可能です。
・外壁塗装補助金や、高性能住宅設備補助金を活用することで、最大50%程度の補助を受けられる場合があります。
・耐震補強や、太陽光発電システムの設置に対する補助金も、長期的なメンテナンスコストを軽減する役割を果たします。
5. 定期的なクリーニングや簡単なケアを行う
定期的な掃除やクリーニングは、劣化の進行を遅らせ、修繕費用を抑える効果があります。
・床や壁の拭き掃除、窓のガラス拭きなどは、自分で行える作業で、汚れやホコリを溜めないことが重要です。
・エアコンフィルターの清掃や、水回りの掃除は、頻繁に行うことで、長期的な設備の故障を防ぐことができます。
6. 長期保証や延長保証を活用する
新築住宅には、設備や材料の保証が付いていることが多いですが、期間が終了する前に延長保証を利用することで、修繕費用のリスクを軽減できます。
・高価な設備(例えば、給湯器、エアコンなど)の延長保証を活用すると、長期間の修理や交換費用を節約できる場合があります。
7. 適切な保険の活用
大規模な修繕や災害に備えて、住宅保険を活用することで、突発的な費用負担を軽減することができます。
・火災保険や地震保険を適切に契約することで、災害時の修理費用や交換費用の負担を軽減できます。
8. 長期計画に基づいた修繕資金の準備
計画的に修繕資金を準備しておくことが、メンテナンス費用を抑えるための最も重要なポイントです。
・年間や月ごとの積立を行い、必要な時期に必要なメンテナンス費用を用意しておくことで、計画的に資金を確保し、大きな出費を回避できます。
この記事のまとめ
- 新築住宅のメンテナンス費用は、生涯を通じて必要ですが、適切な工夫でコストを抑えることができます。
- 耐久性のある建材の選定や、定期的な点検、DIYや補助金の活用などの工夫が効果的です。
- 計画的に資金を準備や、適切なメンテナンスを行い、長期的な費用を抑え、快適な住まいを維持していきましょう。