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年収の壁と住宅購入の関係|無理のない家づくりのポイント

年収の壁とは?家づくりへの影響を解説
最近、話題になっている「年収の壁」。これは、一定の年収を超えると社会保険料の負担が発生し、手取りが減ることを指します。特に、共働き世帯やパート・アルバイトで働く方にとっては重要なポイントです。今回は、年収の壁の概要と、住宅購入への影響について解説します。
1. 年収の壁とは?
「年収の壁」とは、主に以下の4つのラインを指します。それぞれのラインを超えることで、税制や社会保険の負担が変わり、実質的な可処分所得に影響を与えます。
①103万円の壁
所得税が発生するライン。年収が103万円を超えると、所得税の課税対象となります。ただし、扶養控除の適用を受ける場合、所得控除が適用されるため影響は比較的軽微です。
②106万円の壁
一定の条件を満たすと社会保険(厚生年金・健康保険)への加入が義務付けられるライン。企業規模が101人以上の会社に勤めている場合、年収が106万円を超えると社会保険に加入し、保険料の負担が増加します。
③130万円の壁
配偶者の扶養から外れ、自分で社会保険に加入しなければならないライン。配偶者が健康保険の被扶養者となる場合、年収が130万円を超えると扶養を外れ、自ら社会保険に加入する必要が出てきます。
④150万円の壁
配偶者控除の適用範囲が縮小されるライン。配偶者の年収が150万円を超えると、配偶者控除の適用範囲が狭まり、所得税の負担が増える可能性があります。
これらの壁を超えると、増えた収入に対して税金や社会保険料の負担が大きくなり、結果的に手取りが減ることもあります。そのため、多くの方が「壁」を意識しながら働き方を調整しているのが現状です。
2.年収の壁が住宅購入に与える影響
年収の壁は、住宅ローンの借入可能額や返済計画にも大きく影響します。以下のポイントを押さえておくことが重要です。
① 住宅ローン審査への影響
住宅ローンの審査では、主に「年収」「返済負担率」「勤務形態」などが考慮されます。特に、年収の壁を意識して働き方を抑えていると、結果的に年収が低くなり、借入可能額が減少する可能性があります。
例えば、106万円の壁を超えないようにパート勤務を抑えていると、世帯収入全体が増えにくく、希望する住宅ローンを組めない場合もあります。一方で、壁を超えて働き、収入を安定させることで、より有利なローン条件を得られる可能性があります。
②住宅ローン控除との関係
住宅ローン控除は、年収によって控除額が異なります。年収の壁を超えて一定額以上の収入がある場合、住宅ローン控除を最大限活用できるため、結果的に税負担が軽減される可能性があります。
③家計全体のバランスを考えた計画
無理のない住宅購入をするためには、年収の壁を考慮しつつ、家計全体のバランスを見極めることが重要です。
・長期的な視点で働き方を決める:
扶養を気にして働く時間を抑えるよりも、安定した収入を確保することが将来的に有利な場合があります。
ライフプランを踏まえて決定:
教育費や老後資金など、住宅購入以外の支出も見据えた上で、どのタイミングでどの程度の住宅を購入するか計画を立てることが重要です。
貯蓄とローン返済のバランスを考慮する:
住宅購入後の生活を圧迫しないよう、ローン返済額だけでなく貯蓄の確保も視野に入れましょう。
3. 政府が検討している改正案について
近年、年収の壁を意識した働き方が労働市場に影響を与えているため、政府もその見直しを検討しています。主な改正案のポイントは以下の通りです。
① 106万円の壁対策
2023年10月より、106万円の壁を超えた場合でも一定期間は社会保険料の負担を軽減する「キャリアアップ助成金制度」などが導入されました。これにより、短時間労働者が負担増を避けつつ、より安定した働き方を選びやすくなっています。また、一部企業では社会保険加入の負担軽減策として独自の補助制度を導入する動きもあります。
②130万円の壁の緩和
130万円の壁に関しても、扶養の範囲を広げるなどの議論が行われており、配偶者の収入増加を後押しする方向に進んでいます。特に、社会保険の扶養基準をより柔軟にする案が検討されており、2024年以降の改正に注目が集まっています。
③配偶者控除の見直し
150万円の壁に関しては、配偶者控除の適用範囲を広げることで、共働き世帯の負担を軽減する動きが進んでいます。また、所得制限の見直しも議論されており、控除を受けやすい制度改正が期待されています。
これらの改正により、特に共働き世帯が安心して収入を増やせる環境が整えられつつあります。
4. 年収の壁を意識した家づくりのポイント
年収の壁を考慮しながら住宅を購入する際には、以下のポイントを押さえることが重要です。
将来の収入見通しを考慮:
年収の壁を意識しすぎず、将来的に安定した収入を確保できるかどうかを見極めましょう。
固定費を抑える:
ローン返済額だけでなく、固定資産税や光熱費などのランニングコストも考慮し、無理のない家計設計を行いましょう。
柔軟な間取り設計:
将来的に収入が増えた場合に備え、リフォームしやすい設計や可変性のある間取りを考えると良いでしょう。
*※本記事の内容は2025年時点の情報に基づいており、政府の改正案については今後変更される可能性があります。最新情報は政府発表や専門家の意見を確認してください。
この記事のまとめ
- 年収の壁は、税負担や社会保険料の増加を考慮しながら働き方を調整する重要なポイントです。
- 住宅購入を考える際には、短期的な手取り額だけでなく、長期的な家計の安定性を優先することが大切です。
- 政府の改正動向にも注目しつつ、無理のない家づくりを計画していきましょう。